お彼岸

台風一過の秋晴れの日、早めの方が人が少なくていいかと、お墓参りに行った。墓地の最寄駅はいつも観光客でごったがえす賑やかさだけれど、10分ほど歩いたところにある墓地は別世界。緑を背に市街地が見下ろせる高台は予想通り静か。出会ったのは姉妹らしい若い女性2人と、花の入ったコンビニ袋を提げたおじいさんだけだった。

駅に戻る途中に「早朝、イノシシとサルが目撃されたので注意を」と張り紙がある。百日紅の花とザクロの実がきれい。古い門構えの農家?の軒先には「ブドウあります」のビラ。ピオーネを一房買ったら甘くて新鮮だった。

読書会

20年近く前からいくつかの読書会に関わり、現在も2つの会で友人たちと本を読む楽しさを分かち合っている。月一で開くのは4~5人がランチを兼ねて半日ウダウダ喋る気楽なもの。

8月は「狂うひと」(梯久美子著)が課題書だった。副題に<「死の棘」の妻・島尾ミホ>とあるように、作家・島尾敏雄の妻ミホの評伝なのだけれど、同時に敏雄の代表作「死の棘」の新たな読み解きになっている。

読売文学賞受賞(評伝・伝記)は納得の作品で、緻密で粘り強い梯さんの取材力がこれまで書かれなかった島尾夫妻の姿を浮かび上がらせている。戦争という極限状況での男女、奄美大島の歴史と精神性、作家同士のカップル…切り口は多様。メンバーの感想もさまざまに別れ、作品自体の幅を感じた。私が一番強く感じたのは、かつて著名な評論家たちがこぞって「死の棘」を称賛したが、評価は一面的だったということ。目からウロコ、でした。梯さん、ありがとうございます。